ことまちプロジェクト関係者インタビュー①
「人に寄り添う建築を考えるように」(千葉大学鈴木研究室 学生インタビュー)
2024/01/01
押上・業平エリアの沿道ににぎわいを生み出し、新たなまちの魅力づくりを目指す、ことまちプロジェクト。
現在、来春の開業に向けて、長屋の跡地を活用した複合コミュニティ施設「ことまちベース」の建設が進んでいます。
工事中の現場には、本プロジェクトのイメージを描いた仮囲いも設置されました。
お近くにお住まいの方は、ぜひご覧になってみてください。

今回は、本プロジェクトの構想段階からコアメンバーとして関わってきた、千葉大学鈴木弘樹研究室に所属する学生の方々にインタビュー。
プロジェクトに携わった感想や、まちづくりに対する想いを伺いました。

ことまちプロジェクト推進会議の一員として、鈴木弘樹先生を筆頭に、学生の皆さまには、ことまちベースの施設設計から施工まで、建築分野で全面的にご協力いただいています。
なかでも、修士2年の片山雅也さん(千葉大学大学院 融合理工学府 創成工学専攻建築学コース)は、鈴木先生と共にプロジェクト立ち上げの頃から会議に出席し、ことまちプロジェクトを支えてきました。
建築設計や都市計画、ランドスケープを主に専門としている鈴木研究室。
現在、学校施設の研究をしている片山さんですが、「まちを盛り上げて、実際に建物が建つところまで携わってみたかった」という理由から、ことまちプロジェクトの活動に参加したのだそう。
片山さん:
昨年の秋頃から、ほぼ毎週コアメンバーの会議に出席してきました。
施設設計について意見交換をしたり、研究室内で会議内容の共有や意見整理をしたり。
同級生と一緒に案を考えたものを、鈴木先生に代表意見として会議でご提案していただくこともありました。
ことまちプロジェクトの拠点となる施設(ことまちベース)で、広場を設ける際に芝生を活用したいという意見は、先生と生徒の意見が一致して採用されたものです。

一方、今年の春から、片山さんからプロジェクトを引き継ぐ形で参加した修士1年の鈴木太陽さん(千葉大学大学院 融合理工学府 創成工学専攻建築学コース)と、学部4年生の高山茉佑子さん(千葉大学工学部 総合工学科 建築学コース)。
お二人は、広場をつくるにあたって、鈴木先生より提案された人工芝の実証実験に携わっています。
ことまちベースの敷地内に広場をつくる際、天然芝ではなく人工芝が相応しいか否かを比較検証する試みは、「おしなりピクニック」と題し、まちに開かれたイベントとして開催されました。
(会期:2023年7月8日以降、施行開始までの毎週土日)

イベント会期中は、人工芝のほかにも、キッチンカーやテント、椅子を用意し、会場に訪れた方々に使用感を伺ったり、まちに関するアンケートも実施しています。
鈴木研究室が主体となって企画した本イベント。
「どんなまちになって欲しいか、という地域住民の方の声を会場で直接伺えたことは、とても良い経験になりました」と鈴木さん。
高山さんは、イベント告知のためのポスター制作も手がけています(下記)。

高山さん:
普段は西千葉キャンパスにいることが多く、墨田区にどんな人が住んでいて、どんなまちなのかをよく知らなかったので、地域の方に話を聞くことでまちの現状を知ることができました。
おしなりピクニックの会場に訪れた子育て中のお父さまが、「街中で子どもが遊べる場所が少ないから、こういう場所があるのは嬉しい」と言っていたのも心に残っています。
また、片山さんは、解体前の長屋で開催された「ことまちはじめの小さなワークショップ」(会期:2023年2月11~19日)に参加し、現地の人の声の大切さに気付いたと言います。

片山さん:
プロジェクトの中の人で話し合うだけでは出てこない意見を聞けるのが、ワークショップの一番の魅力。
たとえば、広場をつくるという決定事項に対しても「バーベキューができたら良いのでは?」といった、まちに住む当事者の方々の意見をどう反映するか検討するのは、新しい建物を建てる際に必要なことだと思います。
ことまちプロジェクトの活動を通して、まちの魅力発見につながった一面も。
片山さん:
すみだのまちは、大規模なイベントに限らず小・中のイベントが日々どこかしらでやっていて、ちょっとしたものの集積がこのまちを形作っているような感じがします。
ことまちプロジェクトも小さな拠点をつくり、徐々にまちのなかへ広げていこうという考えを発端にしているので、このまちに合ったプロジェクトなのではないかと改めて感じています。
鈴木さん:
スカイツリーのような大規模な観光地に目が行きがちですが、小さな商店や細い路地があり、親しみやすいスケールのまちだと思います。
すみだに住む方々は、自分たちのまちに誇りを持っていて、もっと良くしていきたいと思っているように感じました。
高山さん:
これまで人と関わることにあまり積極的ではなかったのですが、自分が本プロジェクトに関わったタイミングは人と関わるフェーズでした。
地域の人たちと一緒に色々なことをやってみる時期だったので、良い修行になったと思います。特に、墨田区にお住まいの方々は、フレンドリーで人との距離も近い。
ワークショップを通して地域の方と交流するうちに、人に寄り添った建築について考えるようになりました。
最後に、地元企業と共にまちづくりに関わった経験を振り返っていただきつつ、ことまちプロジェクトに対する想いを伺いました。

高山さん:
卒業後も建築や都市設計に関わる身として、プロジェクトの進め方や、設計の試行錯誤の過程を知れたことは大きな糧になりました。
ことまちプロジェクトには、「ことまちベース」を拠点に、まちづくりを考えていこうという目的があります。なので、施設が完成したらそれで終わりということではなく、ラボや広場が出来て、どのように人が集まってくるのか。そこでつながった輪をどう周囲に波及させていくのか、といったことを考え続けることが、今後のプロジェクトの在り方を決めていくうえで大事なことになると思います。
鈴木さん:
本プロジェクトを通して出会った方も多く、新たなつながりも生まれました。
「ことまちベース」が誰でも気軽に訪れることができて、新しい出会いやつながりが生まれる、もう一つの家のような存在になってほしい。そして、ここに訪れた人と一緒に“おしなり”の魅力について考えていき、その魅力を発信する場所になってほしいと思います。
片山さん:
「ことまちベース」を起点に、まちににぎわいが出来ていくのが理想です。
「子どもに勉強を教える会をしてほしい」という地域の方のご意見も頂いたので、勉強会を開ける機会なども作れたら良いですね。ワークショップやイベントなどに利用できる「ことまちラボ」は、地域の人のために使っていける場所になってほしいです。
また、ことまちプロジェクトの会議で度々登場する建築模型も、鈴木研究室で作成しています。
先日参加した「全国まちづくり会議2023」の出店ブースでも、1/50スケールの「ことまちベース」模型が展示されました。

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田中未来(タナカミキ)
2017年よりフリーランスライターとして独立し、これまでにアートや旅、まち歩きの取材撮影を担当。現在は、すみだのまちの情報発信メディア「すみだノート」での執筆や、コミュニティマネージャーとして、まちとひとをつなぐ仕事に関わっています。趣味は美術館めぐり、骨董市で古いもの集め、馬を見たり乗ったり、気ままな一人旅など。地方と下町を行ったり来たりしながら暮らしています。