ことまちプロジェクト第一弾「ことまちはじめの小さなワークショップ」
2023/6/29
浅草通り沿道に賑わいを生み出し、地域の皆さまと共に、活気あるまちづくりを目指す「ことまちプロジェクト」。
新しい「こと(文化・活動・体験)」を紡いで広げながら、持続的に発展する「まち」を育んでいく、という想いを基にスタートした本プロジェクト初の試みとして、2023年2月11日(土)〜19日(日)の期間にかけて、ワークショップを開催しました。
今回の記事では、イベント実施に至った経緯やワークショップの内容を振り返りつつ、ことまちプロジェクトの今後の展望についてもお話ししたいと思います。

解体前の長屋で行われた期間限定のワークショップ
ことまちプロジェクト実行委員会では、東武不動産の保有している土地の一部を活用しながら、まちづくりを行う計画を進めています。
プロジェクトの始動にあたって、まずは東武不動産が浅草通りに所有する6軒の長屋を部分的に解体・リノベーションして、敷地内に広場とイベントやワークショップを行うコミュニティ施設(ラボ)、カフェなどの飲食店を併設する提案がありました。

日本設計によることまちラボ提案イメージスケッチ
計画当初はリノベーションで施設整備を行う予定でしたが、検討を進める中、耐震性能や安全性の懸念からリノベーション案はなくなりました。
最終的には4軒の長屋を解体し、まちとひとを結ぶコミュニティ形成の場として活用しようということになりました。
日本設計の常盤純代さん(ことまちプロジェクト委員会メンバー)は、広場のある施設を提案した理由ついて下記のようにコメントしています。
常盤さん:「周辺地域には、ちょっとしたポケットパーク(※不動産用語でポケットのように小さな規模の公園や敷地のこと)がありませんでした。
そうした場所を設けることで、高齢者の方や子連れの方にもふらっと立ち寄っていただけて、画一的なまちに潤いや遊び心をもたらすものとして機能するのではないかと思いました」
コミュニティ施設をつくり、まちに開けた場所を目指すのであれば、ただ単に建物を取り壊すだけでなく、解体前からまちの人たちに私たちのプロジェクトや想いを知ってもらいたい。
また、リノベーションは叶わなかったものの、既存の建物を最後まで活用していきたい思いもありました。
そのような経緯から、ことまちプロジェクト第一弾の試みとして、解体前の長屋をワークショップの舞台にして、様々な企画を通じてまちの方々と交流する
「ことまちはじめの小さなワークショップ」(2/11~19)
と題したイベントを開催することとなりました。
まちの記憶を掘り起こし、
まちの未来に想いを馳せる
解体前の4軒の長屋を開放し、訪れた方々にこの場所を知ってもらい、まちづくりの機運を高めることを目的に開催された本ワークショップ。
イベントの準備・運営には地元の学生や飲食店を営む店主の方、アーティストの方々にもご協力いただきました。
また、当日は墨田区長も視察に訪れ、まちづくりの活動を行政にも知っていただく機会となりました。
ワークショップ期間中には、ハンドドリップのコーヒーでおもてなしをしたり、自由に遊べるけん玉を用意したり、椅子や石油ストーブを設置して、歩行者の方々に気軽に立ち寄っていただける場づくりを心がけました。
ここでは、実際に行われたイベントを写真と共に紹介していきます。

アンケート用紙を片手に来場者の方にヒアリングしている様子
<まちづくりに関するアンケートの実施>
このまちの好きなところや、思い出の場所、未来に残したいまちの文化や風景、30年後のまちの姿などの質問に答えていただき、回答の一部を葉っぱの形をした付箋に書き込み、ガラスに描かれた木の枝に貼ってもらいました。
→アンケート調査の回答と分析結果はこちらからご覧いただけます。

<苗木のプレゼント配布>
墨田のまちなかで度々見かける路地園芸。
江戸時代に庶民の間で大流行した園芸文化が今も根付くこの土地で感じられる「育てる心」に、ことまちプロジェクトの想いを重ねて、アンケート回答者の皆さまにツツジとツバキの苗木を贈りました。
後日、植木鉢に貼付されたQRコードから、苗木の成長写真をシェアしていただきました。
→皆さまから頂戴した苗木の成長写真と詳しいお話は、こちらで公開しています。

<古材ワークショップ>
使われなくなった長屋の古材を活用して、カードホルダーなどの雑貨をつくるワークショップを開催。
さらに、元床屋の長屋ではアーティスト同士でコラボレーションを行うことも。
床屋の鏡台周りに古材を切り貼りし、その上から絵の具で立体ペイントを施して、フォトジェニックな自撮りスポットを制作していただきました。


元床屋の鏡を利用した自撮りスポット
<長屋の飾り付け>
子どもを対象にしたワークショップとして、ガーランドと暖簾づくりを行い、解体される長屋に飾り付けました。
また、建物壁面の一部を白く塗り、その上から子どもたちが想像する未来の姿を自由に描いてもらいました。


<まちの昔の姿を展示>
元雑貨屋だった長屋では、アンケートの実施にあわせて、この地域の昔の写真を展示することで、過去から未来に至るまちの姿に思いを馳せる空間にしました。
訪れた方にはお気に入りの場所を地図に書き込んでいただき、その場で撮影したチェキ(写真)と共に展示しています。

<古家具レスキュー>
解体される長屋に残された箪笥などの古家具を二階から一階に下ろして移動し、興味のある方々に向けて実際に見て触れてもらう機会を設けました。
希望者には後日、家具を持ち帰っていただき、その後の活用方法を写真でシェアしていただきました。
→皆さまから頂戴した古家具をリユースした写真は、こちらで公開しています。

公園のように親しみやすく、
気軽に立ち寄れる空間への需要高まる
解体前の長屋で行われたワークショップは、まちを訪れた方々に、浅草通り沿道が賑わっている雰囲気を感じていただき、ことまちプロジェクトの取り組みについて知っていただくきっかけにもなったと思います。
同時に、私たちもまた、地域の方々と直接コミュニケーションを図ることで、まちの歴史や思い出を教えていただいたり、皆さまとの会話から様々な意見を収集し、今後のことまちプロジェクトの方向性をより明確にすることができました。
ワークショップに参加した日本設計の小泉萌さん(ことまちプロジェクト委員会メンバー)は、「子どもたちが無邪気で好奇心旺盛に遊ぶ姿を見て、積極的にワークショップにも参加してもらえて、墨田区ならではの良さを体感できました」といった感想と共に、まちの方々との会話を通じて「ふらっと来られて、コーヒーを飲んだり、お話ができる場所が欲しいという声もたくさん聞けました。
今回のワークショップを行ったような空間が、ニーズとして求められている感触を得ることができました」とコメントしています。日本設計の常盤さんからは「会話の中で池波正太郎氏を引用されたり、歴史好きの方が多く、歴史あるまちに住む誇りを持っていらっしゃることを実感しました」とのお話しも。
202名の方にご回答いただいたアンケートの調査結果からは、まちの方々がスカイツリーをまちのシンボルとして認識しつつ、下町風情を残したいという想いが伝わったり、気軽に立ち寄れる空間が求められていることがわかりました。
「今回の皆さまのご意見や反応を真摯に受け止めつつ、今後のことまちプロジェクトを進めていく上で、しっかりと企画を組み立てていきます」と日本設計の古田さんからもご意見をいただきました。
新しいものと昔ながらのものが共存するこのまちの特性を活かしながら、より一層、魅力あるまちづくりをしていきたいと改めて実感したワークショップでした。
古田さんによる、本プロジェクトに向けて熱い想いを綴ったnote記事も公開中。
ぜひ、本記事と合わせてお楽しみいただければ幸いです。
ことまちプロジェクトnote記事(随時更新中)
U R L:https://note.com/kotomachi_2023/
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田中未来(タナカミキ)
2017年よりフリーランスライターとして独立し、これまでにアートや旅、まち歩きの取材撮影を担当。現在は、すみだのまちの情報発信メディア「すみだノート」での執筆や、コミュニティマネージャーとして、まちとひとをつなぐ仕事に関わっています。趣味は美術館めぐり、骨董市で古いもの集め、馬を見たり乗ったり、気ままな一人旅など。地方と下町を行ったり来たりしながら暮らしています。