ことまちプロジェクト店舗紹介③

ことまちプロジェクト店舗紹介③

コーヒーとアメリカンブレックファストではじまる一日 『THE MORNING FOLKS OSHIAGE』


様々な“こと”に出会い、“まち”の魅力を伝えながら、押上・業平エリアに新たな賑わいを創出することを目的にスタートした『ことまちプロジェクト』。

地域とつながる場を目指す複合コミュニティ施設『ことまちベース』では、緑色眩しい小さな広場『こと庭』を中心に、キッチンスペースやコミュニケーションスペースを兼ね備えた、まちの実験室『ことまちラボ』や、本プロジェクトに賛同してくださった飲食店が出店しています。

2024年5月29日には、埼玉県草加市でロースタリー&カフェを営むecoma coffee(エコマコーヒー)さんが、ことまちベースに2号店『THE MORNING FOLKS OSHIAGE(ザ モーニングフォークス押上)』をオープン。
“Morning Folks”とは、朝に集う人々のこと。店内では自家焙煎した豆を使ったスペシャルティコーヒーと、バターミルクを用いたパンケーキやフライドチキン、ポテト料理のハッシュブラウンなどを合わせたモーニングプレートがいただけます。

草加と押上で2店舗を運営する株式会社カフェイネイチューのコンセプトは、

「We caffeinate your life」(あなたの人生をカフェイン入りに)。

代表の吉岡順平さんは、「おいしいコーヒーを皆さまに届けることで、そこで生まれる驚きや感動、スペシャルティコーヒーが持つ味覚体験を楽しんでもらいたい」と語ります。
草加で育んだつながりを生かしつつ、地域に根付くお店づくりを目指す吉岡さんにお話を伺いました。

お店の入り口は看板が目印

コーヒーをおいしく飲む「相棒」に選ばれたのは、アメリカンな朝食

店舗外観
店舗外観

ことまちベースへの出店が決まった当初、「店舗スペースをコーヒーのみの提供で営業するのは難しそうだと思った」と振り返る吉岡さん。

そこで、草加で飲食店を営む仲間たちに声をかけ、チームで出店しようと呼びかけてみるものの、タイミングが合わず断念。
一方、「ecoma coffeeで培ったつながりを最大限に生かしてお店づくりがしたい」という吉岡さんの思いを受けて、パンや野菜など食材提供の面で協力を得られることになったのだそう。

コーヒーと一緒に合わせるものとして吉岡さんが選んだのは、以前から挑戦してみたかったアメリカンブレックファスト。
アメリカのオレゴン州ポートランドに留学経験のある吉岡さん。
現地の食文化の中でも、特にアメリカの朝食が印象に残っていたと話します。

吉岡さん:日本の土地でコーヒーをおいしく飲んでもらうためにどうしたら良いかを考えたときに、アメリカで体験した食文化をここ(押上)でも表現できたらと思いました。

店内風景
店内風景

押上・業平エリアは 多くの外国人観光客が足を運ぶ土地柄であることに加え、パンケーキのお店はあっても、 パンケーキを使ったプレート料理を出す場所が多くなかった ことなどが、アメリカンブレックファストをはじめる決め手になったようです。

レジ横ではオリジナルの焼き菓子も販売中

ボリューム満点!
バターミルクやオーガニック野菜を使ったモーニングプレート

自分たちの周りでつながりのあるお店や農家の原材料を使って、お店をつくりたい。

「おいしいものをつくる方々の手を借りて、そのつながりを生かすことでお店を良くすることができれば、自分たちはコーヒーに専念できる」

と笑顔で話す吉岡さんからは、人や地域とのつながりを大切にしてきた経緯が伝わります。

(写真:店舗提供)
(写真:店舗提供)

THE MORNING FOLKS OSHIAGEのプレートを彩るパンケーキには、バターミルクが使われています。

このバターミルクは、ecoma coffee開店時から付き合いのある『森林ノ牧場』(栃木県)さんがつくる発酵バターから得られる副原料なのだとか。

その効果は、「バターミルクの中にある酸っぱい成分が、重曹やベイキングパウダーと反応することで、仕上がりがふわふわに、しっとりするんです」と吉岡さん。

フライドチキン(※取材時の賄い料理)
フライドチキン(※取材時の賄い料理)

さらに店内では、バターミルクに浸けたフライドチキンもいただけます。
フライドチキン=お腹が重くなるイメージですが、それを「さっぱり、おいしく」食べられる状態にしてくれるのがバターミルク。

酸性の成分がお肉の繊維を柔らかくして、パサパサしない胸肉に仕上がります。

「Fuel Plate(フューエルプレート)」は、パンケーキと目玉焼き、細切りポテトにフライドチキンが合わさったボリューム満点の一皿。
朝からがっつり食べたい方におすすめです。

Fuel Plate(写真:店舗提供)
Fuel Plate(写真:店舗提供)

「Lumberjack Breakfast(ランバージャックブレックファスト)」プレートは、鉄板でじっくり焼いたポテト料理のハッシュブラウンを添えて。

外側はパリパリ、中身はホクホクなジャガイモの食感を楽しめます。

原料のジャガイモは、草加のオーガニック農家『Chavi Pelto(チャヴィペルト)』さんから仕入れたもの。

吉岡さん曰く、「体に良いオーガニックかつ、野菜の味が濃くておいしいんです」。
草加のベーカリー『おーぐぱん』さんのパンを使ったオープンサンドも、朝食のお供にぴったりです。

Lumberjack Breakfast
Lumberjack Breakfast

「行ってらっしゃい」と背中を押せるようなコーヒーを目指して

店内のコーヒーは、すべてecoma coffeeで焙煎した豆を使っています。

押上店では浅煎りのコーヒーを中心に、カフェラテやエスプレッソなどのメニューも豊富。
地域に合わせて、お店のクオリティコーヒーをコントロールしているのが、バリスタの板橋健太さん。

水の成分が異なる草加と押上では、味の出方も変わるのだそう。
現在は、すみだのまちに合った味わいを目指して、試行錯誤を重ねている最中です。

板橋さん:墨田区にはおいしいコーヒーを飲めるお店がたくさんあるので、うちの店では特に、スタッフの元気な挨拶や雰囲気までも感じられるような、活き活きとした、リフレッシュできる味わいを目指していきたいです。

バリスタのこだわりが詰まったブレンドだけでなく、シングルオリジン(単一産地)のエスプレッソをお店でいただくことも。
コーヒー好きの方は、ぜひ味比べをしてみてくださいね。

コーヒーが苦手な方には、チェリーソーダやフロート、抹茶カプチーノなどのドリンクメニューも用意しています。

暑い季節にはアイスカフェラテ

ロースター(焙煎担当)を務める吉岡さんは、「生産地で出来上がったコーヒーがカップに注がれるまでのストーリーを含めて、お客さまに届けることが使命だと思う」と語ります。

吉岡さん:コーヒー豆の生産国と、それを消費する国をつなぐ役割を担うのが、自分たちのようなコーヒー屋。おいしいコーヒーを持続的に楽しむために、同じ生産者から毎年コーヒー豆を仕入れることも大切だと考えています。

過去には、エルサルバドル共和国の農園を直接訪ねた経験もある吉岡さん。
その関係性は、現在も良好に続いています。
誰がどこで、どのようにつくったコーヒーなのかがわかる安心感は、昨今のコーヒーシーンで大切にされています。

ecoma coffeeのコーヒー豆は店頭販売も。
ecoma coffeeのコーヒー豆は店頭販売も。

「自分たちのやっていることが、まちづくりの一部になっている」

墨田区の印象について、吉岡さんは「お祭りも多く下町らしさを残しつつも、スカイツリーが出来てからは、いろんな人たちが入り混じるまちになった」と話します。

今もなお、下町の雰囲気を残す押上・業平エリアで、「まちの人たちが集えるような場所をつくっていくことが、まちにとって良いものを生み出すことにつながる」と吉岡さん。

ことまちベース出店を決断する話し合いの中で、ecoma coffeeのある旧日光街道沿いのまちづくりの考え方と、ことまちプロジェクトの想いが似ていると感じたそうです。

吉岡さん:まちづくりは、点(お店)を増やしながら、それが線となり、やがて面になって、賑わいを波及するものだという『ことまちプロジェクト』の考え方は、もともと草加市の進めていたリノベーションプロジェクトに参加して、ecoma coffeeを立ち上げた際に学んだことと一致していました。旧日光街道沿いに面した草加のお店も、現在は周辺にいくつも点が打たれて、まちに賑わいを生み出しています。

飲食物は『こと庭』広場に持ち込めます。
飲食物は『こと庭』広場に持ち込めます。

吉岡さん:地域の人々が集うお店がまちにあることで、そのまちで過ごす人が増えていく。
バリスタやスタッフとの何気ない会話や、お店で過ごす時間が、まちの人たちにとって生活の一部になっていく。
そういうお店をつくることが、まちづくりに関わることだと思う。
日頃から自分たちのやっていることが、まちづくりの一部になっていると意識しながら、お客さまと接しています。

今後は、まちの中でお金を循環させられるように、押上や墨田区の中でも取引先を増やしていきたい、と意気込む吉岡さん。
草加のつながりを生かしたお店づくりをしてきたからこそ、地域の人たちと一緒に仕事をすることは今後も欠かせないとのこと。

店内で使用されている一部のカップは、株式会社大川硝子工業所(墨田区立花)のもの
店内で使用されている一部のカップは、株式会社大川硝子工業所(墨田区立花)のもの

吉岡さん:押上と草加、2つのお店が架け橋になって人やモノが行き来して、そこで良いものを知っていただき、どちらのまちの良さも知るきっかけになってくれたら良いなと思います。

地域の人のコミュニティになるようなカフェを目指し、これからもつながりを広げていくTHE MORNING FOLKS OSHIAGE。


ぜひ、良い一日のはじまりに足を運んでみてくださいね。

THE MORNING FOLKS OSHIAGE

住所:東京都墨田区業平1-10-6 西棟1F
営業日時:Instagramの投稿にてご確認ください
Instagram:@themorningfolks_oshiage

WRITER

田中未来(タナカミキ)

2017年よりフリーランスライターとして独立し、これまでにアートや旅、まち歩きの取材撮影を担当。現在は、すみだのまちの情報発信メディア「すみだノート」での執筆や、コミュニティマネージャーとして、まちとひとをつなぐ仕事に関わっています。趣味は美術館めぐり、骨董市で古いもの集め、馬を見たり乗ったり、気ままな一人旅など。地方と下町を行ったり来たりしながら暮らしています。