様々な“こと”に出会い、“まち”の魅力を伝えながら、押上・業平エリアに新たな賑わいを創出することを目的にスタートした「ことまちプロジェクト」。
2025年1月24日、東京スカイツリーの噴水広場から北十間川を挟んだ向かい側に、ポップなビジュアルが目を引くお店がオープンしました。

かわいらしいゴリラのイラストが描かれたその場所は、焼きたてのベーグルを提供するテイクアウト専門店「BAGEL FACTORY」。
オーナーの市村健人さんは、向島のバナナスイーツ専門店「BANANA FACTORY」、業平の焼き菓子とコーヒーが楽しめる「Mr.Bakeman」に続く3店舗目として、このベーグル専門店をスタートしました。
すべてのお店に共通して大切にしているのは、とてもシンプルで「お店を通じてお客さんに楽しんで笑顔になってほしい」という想い。
これまでの経験がぎゅっと詰まった、美味しいベーグルに心も弾む「BAGEL FACTORY」をご紹介します。
あれもこれも食べたくなる!彩り豊かなベーグルたち

お店に足を踏み入れると、おしゃれながらも親しみのある、ワクワクするような空間が広がっていました。
棚やショーケースには十種類を超えるベーグルがずらりと並び、「どれを食べようか?」と思わず目移りしてしまいます。
すべて職人が手づくりするベーグルには、2年以上かけて完成させたバナナ酵母を使用。
2種類の国産小麦をブレンドし、熱湯を加えてこねる湯種(ゆだね)製法で作った生地にはたっぷりの水分が含まれ、「もっちり」「むぎゅっ!」とした食感に仕上がっています。
一口食べれば、これまでのベーグルのイメージが覆されることでしょう。

店内を彩るベーグルをじっくり見ていきましょう。
ひときわ目立つ場所に並んでいたのは「ゴリラの鼻」。
自家製のバナナピューレを生地に練り込んだ、シンプルながらも奥行きある甘みが楽しめる一品です。
形がゴリラの鼻に似ていることから名づけられた、遊び心のあるメニューとして、BAGEL FACTORYを象徴する人気商品となっています。

「シュガーバター」などのプレーン系を中心に、「シナモンレーズン」「黒ごまさつまいも」といったスイーツ系、「明太バター」「トマトバジルチーズ」などしょっぱい系のラインアップも充実。
さらには、スモークサーモンとクリームチーズを挟んだニューヨークスタイルの「LOX」など、見た目にも食欲をそそるベーグルが提供されています。
十種類を超えるラインアップは日によって異なり、スタッフたちのアイデアによって進化を続けています。
味はもちろん、見た目や提供方法にも工夫を凝らし、新しい具材へのチャレンジも欠かしません。
自分の定番を決めるもよし、新しいメニューを楽しむもよし。
日々の暮らしにベーグルが美味しいアクセントを加えてくれることでしょう。
食で人を笑顔にしたい
BAGEL FACTORYを運営するのは、GRaiL Japan代表取締役の市村健人さんと草刈シェフを中心とした7名のスタッフ。
市村さんは異業種から一転して飲食の世界に飛び込み、2017年に向島でバナナスイーツ専門店「BANANA FACTORY」をオープンさせました。
市村さん「大学卒業後、世界各国を回っていた時に、各国で楽しみだったのがその国でしか食べられないレストランやカフェを巡ることでした。
食が持つ『人を喜ばせる力』の強さを感じて、自分でも仕事にしたいと思ったんです。ただ僕には店舗運営の経験がなかったので、父が経営していた食品サンプル会社に勤め、商品開発と営業を経験しました。
休みの日には和菓子屋さんの販売や食品の売り子のアルバイトをしたりと、下積みを重ねていきました。
その後、父の会社の退社をきっかけに独立を決意。
24歳と年齢的には若かったのですが、今しかできないことにチャレンジしようと決め、『人に喜んでもらうお店を作りたい』と大学の友人である佐久間シェフ(現BANANA FACTORYシェフ)に一緒にお店をやらないかと話を持ちかけました。知名度の無い我々でもお客様に振り向いてもらえたり、他のお店と差別化するためには、人をワクワクさせる業態やコンテンツが必要でした。
バナナを選んだのは、子どもから大人まで人気なのに、スイーツとして提供するお店が少なかったから。個人的にも好きなフルーツですし、バナナでできるスイーツをシェフと研究していきました。」

人との距離が近い墨田区の下町文化に惹かれ、地域に根ざしたお店づくりをスタート。
他にはないバナナ感にこだわったメニューや、オープン当初売れ残ったケーキたちの地道な訪問販売などが実を結び、多くの人が訪れる人気店になりました。
人と話すことが好きな市村さんは、続く2店舗目として「Mr.Bakeman」をオープン。
地元客と観光客が行き交うカフェとして、日本の四季を楽しめる焼き菓子とお菓子に合うコーヒーを提供するコンセプトを掲げ、新たなファンを生みました。
市村さん「人情ある地元の方たちや常連さんにもっと楽しんでもらいたくて。毎日同じものを食べる人はそれほど多くないはずなので、あえてコンセプトの異なるお店を展開しました。『今日はBANANA FACTORY、明日はMr.Bakeman』のように楽しんでもらえたら嬉しいです。」
ニューヨークスタイルのベーグルを日本でアレンジ
そんな市村さんが3つ目の業態として選んだのが、ベーグル専門のベーカリーでした。
アメリカではコンビニほどの数があるというベーグル店。
ニューヨーク滞在中、市村さんも毎日のように食べていたそうです。
おいしさはもちろん、具材のバリエーションが豊かで、卵や乳製品を使わずに作れるヘルシーさも魅力のベーグル。
魅力的なパン屋が多い墨田区でも、ベーグルに特化したお店であれば新しい楽しさをプラスできると考えました。

系列店のBANANA FACTORYで共に働いていた草刈シェフに「ベーグル屋さんをやってみないか」と相談したところ、元々ベーグル好きだったこともあり本格的に準備がスタート。
水分控えめなアメリカのベーグルそのままではなく、日本人の舌に合うよう、もちもち感を出すためのアレンジを加えていきます。
これまでの事業で培った経験をもとに、他にはないバナナ酵母の開発をはじめとした試行錯誤を重ね、理想のベーグルを形にしていきました。
その成果は、開店前から行列のできる賑わいを見れば一目瞭然です。
市村さん「できるだけフレッシュで焼き立てを提供することを心がけています。今はベーグル単体のメニューが中心ですが、今後は店頭で具材を選んで作りたてをサンドする、ニューヨークスタイルの販売形式も提供していく予定です。」
お店も街もワクワクで満たしていく


BAGEL FACTORYの店内を眺めると、岩肌のような雰囲気ある壁に囲まれた空間に、ゴリラのフィギュアやアンティークグッズが散りばめられています。
ひょっこり顔を出すゴリラと目が合えば、思わずクスッと笑ってしまう。そんな遊び心も、BAGEL FACTORYらしさのひとつです。
「新しいながらも、街に馴染む雰囲気を出したくて。どこかのテーマパークのような感覚で店内をデザインしました」と語る市村さん。
内装のイメージは、ブルックリンのヴィンテージ感と、どこか秘密基地のような「洞窟感」のミックス。あえてレンガを一部剥がしたような加工を施すなど、細部まで工夫を凝らしています。

ここまでベーグルの種類やお店の内装にこだわるのも、すべてはお客さんに楽しんでもらうため。
バナナスイーツからはじまり、焼き菓子とコーヒー、そしてベーグルへと、お店の業態は違えど、市村さんの想いは変わりません。
市村さん「お店づくりで大切なのは、常にお客様が喜ぶ姿、一口で笑顔になることを想像して商品やサービスを設計、進化させていくこと。
同じようなお店が近くにあっても競争が生まれるだけ。
業種を変えることでまた違う楽しみや感動を生む場所を創り、魅力ある街を作れたらなと。
現状維持は好きじゃないし、常に楽しい・美味しいを研究して新しい挑戦をすることが、お客さんがまた来たくなる理由になると思うんです。
『楽しんでもらう』ことをテーマに、これからも新しいチャレンジを続けていきたいです。」
そう語る市村さんから、すでに4店舗目の立ち上げが進んでいると聞き、詳しく尋ねてみると、テーマはなんと「ほうじ茶と米粉を使ったお菓子のお店」。
これまでとは一線を画すジャンルに驚かされましたが、その表情には、街や人との新たなつながりを楽しみにしている様子が伺えました(取材後、2025年5月16日に『穂と香 HOJICHA FACTORY』としてグランドオープン)。
そんな市村さんが仕掛ける「楽しさ」に触れられる、もちもちのベーグルをぜひ味わってみてください。


※文中に記載の料金は取材当時(2025年3月)のものであり、今後変動する可能性があります。

『BAGEL FACTORY』
住所:東京都墨田区業平2-19-5
営業時間:11時〜無くなり次第閉店
営業日時:木金土日
Instagram:@bagelfactory.official
もちもち食感が特徴のベーグル専門店。国産小麦とバナナ酵母を使用した、個性豊かなベーグルを日替わりで楽しめます。場所はスカイツリーから徒歩1分、オレンジ色の壁に描かれた、可愛らしいゴリラのマークが目印です。